5人に1人は睡眠で十分な休養が取れていない
現代の社会と環境は体内リズムが乱れやすい
私たちの身体は1日24時間という時間に合わせてさまざまな変化が起こることが分かっています。たとえば、体温は明け方に最も下がって夕方に高くなり、夜になると眠りを促すメラトニンが分泌されます。また、肝臓での糖を産生したり、筋肉でたんぱく質を代謝したり、脂肪組織で脂肪を分解したり、抗炎症、免疫抑制を行ったりするコルチゾールというホルモンは早朝に分泌が増大します。このような時間とともに訪れる体内の変化を「体内リズム」と呼びます。
しかし、現代は朝に起きて夜に眠る、といったサイクルで生活しない人も少なくありません。しかし、それは朝起きて夜に眠るという通常の人間の「体内リズム」に反しているため、眠りたい時に眠れなかったり、逆に目覚めたい時間に目が覚めなかったりして、1日中ダルい、眠い、疲れが取れないということになりかねないのです。
現代人の睡眠の実態とは?
日本人の睡眠時間は年々減り続けていて、厚生労働省の調査によると成人のほぼ4割が、1日の平均睡眠時間が6時間未満なのだとか。
そもそも人間は強い光を浴びると目が覚めるようにできています。これが体内リズムを整えるトリガーの1つで、暗くなると眠くなり、明るくなると目覚めるというリズムがあるのです。ところが夜中じゅう明るい部屋で暮らしていたり、逆に朝日が差し込まない部屋で眠っていたりすると、夜と朝の区別がつかなくなります。そうすると体内リズムが狂ってしまって、いつまでも眠れないとか、あるいは逆にいつまでも目覚められなくなってしまうことにもなりかねないのです。
十分な睡眠時間とは、日中にたまった疲労や心身のダメージを回復するのに必要な睡眠時間であり、人によって異なります。これは「必要睡眠時間」と呼ばれますが、個人差があるために「〇時間以上眠れば大丈夫」という万人に通用する基準がないのが現状です。
夜型生活やスマホの見すぎなどで睡眠不足に
私たちの身体は眠っている間に成長ホルモンが分泌され、成長を促したり、傷んだ部分を修復したり、新陳代謝を促進したりします。そのため、睡眠不足が続くとそのような身体の成長や修復、脳のリフレッシュなどが滞ってしまいます。
大昔、私たち人類は日の出とともに目覚め、日没とともに眠っていました。しかし現代は、夜中でも煌々と明かりに照らされていて、夜の暗さを体感しにくくなりつつあります。さらに、スマートフォンやタブレットなどの画面から発せられるブルーライトは、睡眠を促すメラトニンというホルモンの生成を抑制してしまうため、寝つきが悪くなったり睡眠障害になったりする可能性があるのです。
ベッドにスマートフォンなどを持ちこまず、眠る時はぐっすり眠って、朝はさっと目覚める。そんなメリハリのある生活が大切といえそうですね。