私たちの心と身体を整えるためには、十分な睡眠が必須
人はなぜ眠るの?
1日は24時間ですが、私たちはそのうちの約1/3、8時間程度は眠っています。これは人間だけに限ったことではありません。時間の長さや昼か夜かなどさまざまな違いはあるものの、ほとんどの生物には一定の休息時間があります。
では、なぜ私たちは休む必要があるのでしょうか。眠る時間を削って起き続けていたほうが時間がたっぷりと使えますし、効率的であるようにも感じてしまいます。ところが、決してそうではありません。
実は、睡眠には人間をはじめとする生物にとってとても大きな意味があるのです。それは、眠るという行為に、そしてその時間に、身体を休めて傷んだところを修復し、新陳代謝を促して若さや健康を保ち、さらには脳のリフレッシュまでをも行っているという意味があるからです。
睡眠は疲労回復や成長に欠かせない
私たちは眠っている間に「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が交互に訪れます。簡単に言うと「ノンレム睡眠」は脳が休息している状態で、「レム睡眠」の時の脳は目が覚めている時とほぼ同じ状態だということが分かっています。
この脳が休息している状態の「レム睡眠」の時に、脳は「成長ホルモン」を分泌する指令を出しています。よく「寝る子はよく育つ」と言われますが、赤ちゃんは1日のほとんどを眠った状態で過ごします。この眠っている時間に、赤ちゃんの体内では成長ホルモンが分泌され、身体が急速に成長しているのです。
もちろん、大人にとってもこの「成長ホルモン」は重要です。起きて活動している間に傷ついた全身の細胞を修復し、疲労を回復させます。同時に、新陳代謝を促して肌を再生したり、骨を丈夫にしたりもしています。また、いざという時に備えてエネルギーをためたり、病気に負けないように免疫機能を高めたりする効果もあると考えられています。
眠っている間に心のバランスが整う
「ノンレム睡眠」が脳を休めて全身の細胞を修復する時間であるのに対して、「レム睡眠」の間の脳は何をしているかというと、起きている間に見たことや経験したこと、学習したことなどを脳に定着させたり、整理したりすると考えられています。
また、最近の研究によって脳にも独自の循環システムが働いていていることが分かってきました。つまり、寝ている間に疲労を回復したり、傷んだ部分を修復したりするのと同じように、脳も修復したり、不要なものを排出したりすることが分かってきたのです。
つまり、睡眠中の脳は休息するだけでなく、目覚めた時にスッキリとよりよく脳が働けるように不要な記憶の断片などを掃除しているというわけです。しかし、睡眠不足が続くと記憶力や判断力が鈍ったり、集中力が低下したり、ストレスがたまったりします。これは、睡眠不足によって脳に疲れや不要なゴミが溜まり、しっかりと機能しなくなっているためだと考えられるのです。